
デザイン思考は、その名前から
「デザイナー以外は関係ないんじゃ?」
「なんだか難しそう、、、」
なんてイメージを持たれがちですが、実はこの「デザイン思考」は全ての人にとって意味のある思考方法なんです。
ですので今回の記事では、デザイン思考とは何か?そのプロセスや応用例などを紹介していきます!
「アート思考に関する記事はコチラ↓」
ざっくり目次
デザイン思考とは?

デザイン思考とは、「デザイン制作の時の思考方法を使って、それをビジネスや経営に活かしていく手段」となります。
デザイン思考はGoogleやP&Gといった外資系企業や、Yahoo Japanといった日本企業にも使われています。
デザイン思考の、”デザイン”とは「外観を良くすること」ではなく「設計」という意味です。
例えばお客さんに、「カッコいいサイトを作ってよ!」と依頼されたとします。
ここでデザイン思考的には「カッコいいとは何か?」を設計していきます。
それは、「トレンドに乗っていてカッコいい」なのか「斬新でカッコいい」なのか「面白くてカッコいい」などなど、“同じカッコいい”でも全く違うモノになるからです。
▪なぜカッコいいサイトを作りたいのか?
▪その為にはどんなカッコいい要素が必要?
▪その要素をどう反映させる?
などなど、、、、
このようにお客さんの要望に合ったデザインを設計していくのです。
今なぜデザイン思考が必要なのか
20年前のビジネスでは、僕たちの身の回りにはスマホはおろか、PCすらも普及をしていませんでした。
「こんなモノがあればいいな~」
「こんなことが出来ればいいな~」
と、いつも未来に理想を描いていました。
今求められるビジネス
技術は進化をして、AIが将棋で人間に勝ちまくっている時代。
僕たちはスマホとお金さえあれば、望むものは大抵叶えられるのが今の時代です。
技術の進化によって、僕たちの欲求は簡単に満たされるようになりました。
そして人々は欲しいモノだけを、ありふれているモノの中から選択する様になっていきます。
つい20年前までは、僕たちは新しいサービスやモノを全て受けて入れていました。
それは自分が未知の世界をもっと知りたい、未来に近づきたかったからです。
しかし今の僕たちは、想像でしかなかったはずの未来をスマホという形で手に入れました。
受動的だった行動が、能動的に変わり始めたという事です。
そんな今では新しいモノに対しては用心深く、少しでも使いにくいモノには無関心です。
つまり過去のビジネスは、1度モノを作ってしまえばそれで終了。
その後は何もせずともお客さんがついてきました。
しかし、便利な現代の世の中でビジネスをするには、自由に動き回るお客さんの中から手に入れて欲しいお客さんに狙いを定めてアプローチする必要が出てきました。
モノを売る為に必要なお客さんの視点
お客さんにモノを届けるには、具体的にどんなことを考える必要があるのか?
それは以下の5つです↓
- 誰にモノを売るのか
- どんなモノが欲しいのか
- どんなモノを作るのか
- どんな内容・見た目でどう売るのか
- モノを買ってもらえるのかどうか
このように、お客さんの視点に立ってお客さんの事を考えなければ、「モノは売れない・届かない」時代になっているという事です。
自分目線でモノを作って、はい終わり。という時代は遠い過去の話です。
現代では、お客さんの視点に立ちモノだけではなく「出来事」=体験を作る時代なんです。
つまり現代のビジネスにおいて、お客さんの体験を作る手法・視点がデザイン思考を作り上げているのです。
デザイン思考のプロセス

デザイン思考のプロセスは、ハーバード大学のハッソ・プラットナー教授が打ち出している「デザイン思考の五段階」が非常に参考になります。
それは以下の5ステップです↓
- ステップ①:共感
- ステップ②:定義
- ステップ③:概念化
- ステップ④:試作
- ステップ⑤:テスト

1つずつ詳しく解説をしていきますね!
ステップ①:共感
まずは現代ビジネスの基本中の基本、お客さんの考えを理解してその欲求を探っていきます。
なぜそのモノが欲しいのか。
そのモノを手に入れた先に何を求めているのか。
などを想像してみます。
ここで注意をしたいのが、「お客さん第一主義」と「お客さんに共感する」というのは全く別であるということです。
お客さんの言葉を鵜呑みにするのではなく、「自分がお客さんの気持ちになった時、どんな感情がわいてどんな考えが浮かぶのか」というところまで徹底的にお客さんになりきる事が大切です。
ステップ②:定義
ほとんどの場合、お客さんは自分が本当に求めているモノを自分自身でも分かっていない場合が多いです。
例えば「大きなベットが欲しい」という欲求を聞いて終わるのではなく、その先にある「毎日忙しい日々でもぐっすり寝れる快適な環境が欲しい」という心の奥にある欲求を引き出し、最も良い手段を考えるというのがデザイン思考での”定義”です。
この”定義”は次からのステップの土台となるので、慎重に決める必要があります。
ステップ③:概念化
ステップ②で定義が決まったモノに対し、具体的なアプローチを探しだします。
1人ではなく、集団でアイデアを出し合う方法(ブレインストーミング)などを使ってアプローチの仕方を考えましょう。
質よりも量が大事で、思いつく限り次々とアイデアを出しまくってください。
そしてその後、それらアイデアをまとめて形にしていきます。
ステップ④:試作
ステップ④の”試作”では、概念化したものがちゃんと動くようにしていきます。
“動かす”ということが最初の目的なので、なるべく時間やコストをかけずに最初の試作品を作っていきましょう。
試作品で売り上げを出すのではなく、試作品を動かすことによって出てくる新しい課題を見つけてることがこのステップの目標です。
ステップ⑤:テスト
ステップ④で作り上げたモノを市場にリリースし、お客さんの意見をもらいます。
ここで改めてステップ②の”定義”で引き出した欲求に見合ったモノになっているかをチェックしていきます。
最終的に出来上がったモノは真新しいモノでなくてもOKです。
大切なのは、お客さんの心の奥の奥にある欲求をとらえられているかが一番大切だからです。
デザイン思考で生み出された製品たち

ここからは、そんな「デザイン思考」を取り入れて生み出されたモノを紹介していきます!
ケース➀:iPod
まずデザイン思考の代表的な例として、AppleのiPodが有名です。
iPodを開発する際には、社内の開発者や社外のデザイナー・人間工学者・心理学者など35名が携わりわずか11カ月の短期間で開発が行われました。
iPodの開発は、まず競合他社の製品を分析しお客さんがどんな音楽を聴いているのかを徹底的に調べる事から始まりました。
そんな中、多くのお客さんはCDからPCに楽曲を保存し、それを音楽プレーヤーに移すことをめんどくさいと感じているという事を見つけ出し、「どこにいても、その場で選んだ楽曲を聴きたい」というお客さんの欲求を発見しました。
そして、
「音楽の聴き方に革命を起こす。」
「全ての曲をポケットに入れて持ち運ぶ」
といったコンセプトが誕生し、特徴的な操作感のスクロールホイールやPCとiPodを自動で動機させる機能など、斬新なアイデアを生みだしました。

iPodはお客さんへの徹底的な観察をとおして、新しい価値を創り上げたデザイン思考の成功例と言えます!
ケース➁:Wii
次は、日本のデザイン思考を使った開発例の代表的存在「任天堂のWii」です。
Wiiを開発する際にはまず社員の家庭を観察して、「ゲーム機がある事で親子の関係が悪化している」「ゲーム機があると子どもがリビングにいる時間が短い」などの状況を見つけ出しました。
そしてそこから、「家族みんなで楽しめる」「家族の関係をより良くするためのゲーム機」というコンセプトが生み出され、試作に試作を重ねて、
「家族がみんなで使えるリモコンみたいなコントローラー」「消費電力が少なく家計に優しいCPU」「リビングに置いても邪魔にならない小さい本体」などが採用されていきました。

Wiiもまた、ゲームがそれまでもっていた固定概念をぶっ壊し新しい価値を創り上げたデザイン思考の応用例と言えますね!
ケース③:Yahoo!JAPAN
2013年から「デザイン思考」を会社全体に広めているのが、このYahoo!JAPANです。
企業が大きくなるにつれて、決裁などの会社内部の事務に時間がかかるようになり、”意思決定・業務遂行”のスピード感が落ちてしまっているという事をきっかけに「お客さん第一のサービスを作ろう!」というスローガンが掲げられました。
しかし、どうしたらお客さん第一なサービスが実現できるのかという問題にぶちあたり、そこで注目されたのが“お客さん視点に立った新しい価値を作る為の手法である「デザイン思考」”だったというわけです。
社内の有志たちを中心に、デザイン思考を取り入れたいという社員向けに「デザイン思考セミナーやワークショップ」を定期的に開催していきました。
その結果、参加した社員が担当する仕事で実際にデザイン思考を取り入れてみるといったケースが多くなっていきました。
そして2014年に社内にワーキンググループが立ち上げられ、デザイン思考を教える事の出来る人間の育成が進められるなど、会社全体の取り組みにと発展していきました。

Yahoo!JAPANの面白い点では、デザイン思考を取り入れること自体がデザイン思考的に進められていてテストを繰り返しながら徐々に会社全体の取り組みへと展開していったことです!
デザイン思考を取り入れよう!

デザイン思考は、真新しい手段でも小難しい手段でもありません。
お客さんの欲求を探り、試作してテストするというプロセスを繰り返すシンプルな手段です。
しかしシンプルとは言え、実際にビジネスに取り入れるにはコツが必要になってきます。
まずはこの記事で紹介したプロセスや応用例を元に、取り入れてみては如何でしょうか?
どうも!しゅんすけです!
みなさんは、「デザイン思考」って聞いた事ありますか?